分譲マンションの選び方ガイド

二重床・二重天井

二重床や二重天井は直床、直天井と異なり、マンションのスラブと呼ばれるマンションを支えるコンクリート床と実際の床や天井との間に空間を持たせた構造です。遮音性が優れる上、二重床の場合は水周りの修理交換が容易になります。また、二重天井の場合は遮音性はもちろん、天井の照明器具の配置・変更などが容易にできるといったプラス面があります。

失敗しない分譲マンションの選び方

二重床について

二重床(にじゅうゆか)とは、部屋の床にある「スラブ」と呼ばれるコンクリートの基礎の上に直接床材を張るのではなく、床材の上に空間を作ってそのうえに床材を敷くというものです。(二重床とは

最近では、多くのマンションがこの二重床を採用しています。ぜひ、マンション選びの際は二重床になっているかどうかは最低限のチェック項目の一つとしましょう。最大の魅力は「遮音性」と「水周りの配管の自由度」です。遮音性は二重床の場合、直床に対して高音域・低音域の両方で高い遮音性を持つことが分かっています。

マンションで多いトラブルが「音」に関するものであることを考えると、こうした技術が整備されているにもかかわらず二重床などの対策が無いマンションは他の防音・遮音の面でも疑いが出てきます。
また、二重床の場合には床下に水周りの配管が通っており、空間があるため、その配管に関連する水周りのリフォームなども簡単にできます。詰まった時なども安心です。

ただし、二重床の場合「ぐらぐらする」といった印象を持つ方も多いようです。甘い施工によってはこのようにかんじる場合もあるようですので、必ずモデルルームや実際の部屋で確認してみてください。
しっかりとした施工を行っていれば二重床だから床がぐらつくなんてことは無いはずです。

 

二重天井について

二重床と同様に二重天井であることも大切です。二重天井は二重床と同様に天井部のスラブと天井材との間に空間を持たせた構造となっているものです。このメリットは上階からの音を遮音するというメリットがあります。ここは上階の二重床+スラブ+二重天井という3層構造になることでより高い遮音性を持つことになります。(二重天井とは
もう一つのメリットが、天井に張っている配線(主に照明関係)が自由に動かせるという点です。通常の直天井の場合は、証明用の配線がスラブ内に埋め込まれているので自由には動かせませんが、二重天井の場合は天井と天井スラブとの間に空間があるので、そこを自由に動かせます。

 

二重床・二重天井と階高について

二重床や二重天井はあると非常に便利です。リフォームはもちろん、マンションのトラブルに多い「音問題」を和らげる効果があるためです。ただし、一つ問題があります。この問題は利用者(住人)というよりも建築側の問題です。

それは「階高」です。階高とは、階と階の間の高さのことです。一方私たちが認識する部屋の高さは「天井高」です。これは、部屋の高さ(床から天井まで)です。天井高については法律で210cm以上、また快適な居室にするには240cm以上は必要であると言う点から、多くのマンションでも240cm以上の天井高となっています。
しかしながら、二重床や二重天井になるとその分天井高が狭くなってしまいます。じゃあどうするか?ということになると、階高を高くする必要がでてきます。仮に、二重床と二重天井で40cmの高さが必要になるのであれば、ない場合よりも1階あたりの高さを40cm高くする必要があります。
こうなるとどうしても必要になる原材料の値段もアップして高コストな住宅となるのです。マンションを比較する際には、この階高に注目してみると良いでしょう。個人的にはこの二重床・二重天井は快適なマンション生活を送る上で、もはや必須なものだと思っています。つまり、良いマンション(入居者のことを考えた設計のマンション)は、おそらく3メートル以上の階高があるはずです。

 

コスト面からどちらかを諦める場合は?

二重床・二重天井がいいというのは分かったけど、これらを導入する場合はマンションの価格も必然的に高くなります。なぜなら先ほど挙げたように、二重床・二重天井を採用すると「階高」が高くなるためです。階高が高くなるということは当然、それにかかる建築コストも一緒にアップすることになります。
建築コストがアップするということはマンションの販売価格も当然アップするのです。

そうした場合、希望のマンションが買えない!ということもあるかもしれません。それでどちらかを諦めたいという方もいらっしゃるようです。というわけで、仮に順位をつけるとしたら優先順位はどうなるか?ということを考えます。

1位:二重床・二重天井
2位:直床・二重天井(軽量床衝撃音は随分緩和できます)
3位:二重床・直天井(二重床の場合は太鼓現象に対する対策が必要なので、コスト面では二重床>二重天井のため)
4位:直床・直天井(おすすめしません)

まあ、問題は2位と3位の差ですね。できるだけローコストで音の問題をカバーする場合には二重天井にすることで、軽量床衝撃音(スプーンを落とすような音)は随分と緩和されます。一方の二重床の場合、床で出した音が「太鼓現象」といって増幅されて下に伝えられることがあるのです。もちろん、通常二重床を設置する場合にはこれに配慮した施工を行いますが、二重天井よりはコストが高いのです。
コストを気にする場合には、費用対効果で言えば二重天井>二重床だと思います。